サウダージのカウンセリングは、脳の共感反応=ミラーニューロンを利用した最新心理療法FAPを主に使って行います。問題の原因と思われるトラウマを思い出すと苦しくなるから思い出したくない、また思い出そうとしても思い出せない…、そんな場合でもFAPを使えば、トラウマになった出来事の話をしなくても、ミラーニューロンで身体に出た反応をとらえて、素早く的確にトラウマ治療ができます。また、しつこい腰痛や肩こりなどの体の症状の原因は、実は精神的なことである場合がよくあります。そういう症状もFAPを使えば、ミラーニューロンで身体反応をとらえて、隠れた精神的な原因を取り除いて治すことが可能です。
FAPを受けると心身の緊張状態が和らぎ、体も楽になりますし、対人緊張やコミュニケーションの不全感が改善されていきます。
FAPは効果が早くて大きく問題の根本治療が可能です。副作用や苦痛もほとんどない画期的な心理療法です。
詳しく知りたい方は、以下をお読みください。
私(前田)のカウンセリングの師匠であり、FAP療法によって私の治療にあたってくださったカウンセラーの大嶋信頼先生が、FAPを発見、開発するきっかけになったできごとは次のようなものでした。
今から10年ほど前、主に幼少期に虐待を受けた人たちのカウンセリングを行っていた大嶋先生は、カウンセリング後に胃腸が痛くなる経験をたびたびしました。胃腸薬を飲んだりしてみたのですが、なかなかよくなりません。内科で検査も受けてみたのですが、やはり異常は見つかりませんでした。
ところが、胃腸が痛くなるようなカウンセリングをした後ほど、相談に来られた方の状態がよくなっていることに気づき始めました。自分の胃腸の痛みとクライアント(来談者)さんの改善に何か関連があるように思えてきたのです。
その頃、イタリアの脳科学者が、脳の中には他者と共感する部位=ミラーニューロンというものがあるという説を発表していました。その科学者がサルの脳に測定の機械をつけて実験を行っていた時のことでした。休憩時間にその科学者がアイスクリームを食べていたところ、サルの脳内のおいしいものを食べた時に快感を示す部分に、アイスクリームを実際に食べたわけでもないのに反応が出たのです。その科学者は、自分がアイスクリームを食べているのをサルが見ているから反応があったのかもしれないと考え、今度はサルから見えない場所でアイスクリームを食べてみました。すると、サルには科学者がアイスクリームを食べているかどうかはわからないはずなのに、サルの脳にさっきと同じ反応が出たのです。どういうメカニズムかはわかりませんが、自分と他者の脳の間には同じ感情、感覚を共有するつながりがあるらしいことがわかってきました。そして、この共感のはたらきをする脳の部位をミラーニューロンと名付けました。
大嶋先生は、このミラーニューロンのはたらきによってクライアントさんのこころの悩みを自分の脳が受け取り、さらに脳とつながってはたらく自分の内臓が反応を起こしたのではないかと考えました。悩みやストレスがあると胃かいようになったり、下痢や便秘になったり、腰痛や肩こりを起こしたりすることはよく知られています。脳と内臓はつながって反応を起こすことがあるのです。クライアントさんの話す悩みに深く共感するほど、大嶋先生の脳のミラーニューロンも活発にはたらいてその悩みを強く受け取り、その脳の反応が内臓に伝わって胃腸が痛くなっていた、そして、胃腸が痛くなるほど深く共感をして悩みを聴くことができたので、クライアントさんの状態がよくなったというふうに考えたのです。
さまざまなこころの悩みはひとりで抱えているうちはよくならない、誰かに話を聴いてもらって深い共感を得られれば、特別な解決方法を提示されなくても気持ちが楽になってくるということはよく知られています。身近な人に話してもなかなか理解をしてもらうのが難しい悩みは、その問題について専門的に聴くトレーニングができているカウンセラーや医師などに話したり、同じ悩みを持つ人々の集まる自助グループに参加して話を聴いてもらうことが解決につながります。共感を持って聴いてもらうことで悩みが軽減されるというのは、実はミラーニューロンのはたらきで起きていたことだったのです。
この内臓の反応をもっと積極的に利用して、カウンセリングの効果をさらに上げられないかと大嶋先生は考え始めました。
そこで、東洋医学の経絡(けいらく)の考えを応用することを思いつきました。東洋医学では、内臓は手足の指などと神経を通じてつながっていると考えられています。手足のツボを押したりもんだりすることで内臓の調子を整えるときには、この経絡というつながりを利用しているのです。
<ミラーニューロンによってクライアントさんの悩みとつながった脳> ↔ <脳とつながり反応した内臓> ↔ <内臓とつながっている手の指>という経絡のつながりを利用して、クライアントさんが悩みを語ったり自分の問題や症状のことを考えている時に、治療者の側が自分の指の反応をとらえられれば、それは共感で内臓が反応しているのをとらえたのと同じことになると大嶋先生は考えました。そして、その指の反応を利用して治療を進める方法の工夫を始めました。指の反応をとらえるために、右手を自分の身体の横で力を抜いてぶらぶらさせて軽く振ってみました。すると、クライアントさんの語る悩みに反応して指が曲がったのです。しかし、指が曲がったりするのは、指が曲がるという結果が出るはずだという自己暗示がかかっているだけで、実は自分で無意識に指を曲げている可能性も考えられました。そこで、大嶋先生は何も知らない同僚のカウンセラーにも、カウンセリング中にクライアントさんの悩みを聴きながら右手を振ってもらう実験をしてもらいました。すると、ミラーニューロンや経絡のことなど何も意識していなかったそのカウンセラーの指も、同じように曲がったというのです。これで、指の反応で客観的に、クライアントさんの悩みをとらえることができそうだということがはっきりしてきました。
このミラーニューロンと指の反応を利用して心理治療を行っていくのが、FAP(=Free from Anxiety Program)です。
FAPが開発された当初は、クライアントさんと治療者が一緒に反応が出た指を刺激をして、クライアントさんの脳の中にある問題の処理を行っていました。ここではくわしい説明はしませんが、現在は指の刺激は行わなくなり、指の反応を利用しない方法も取り入れて、FAP治療が行われています。
FAPはトラウマ治療の方法として開発されました。トラウマになった事件について、クライアントさんが小さい頃の出来事であるために思い出せなかったり、あまりにもショックの大きなことで記憶が真っ白になっているような場合(解離)でも、FAPを使えば無意識下のトラウマ記憶を内臓の反応でとらえられるので治療が可能になります。また、事実と異なる思い違いや錯覚をトラウマとして考えてしまっている場合(過誤記憶=フォールス・メモリー)もあるのですが、FAPを使えば、本当にこころに傷が残るような出来事があったのか、それとも何らかの出来事をトラウマのように思い違いをしているだけなのか、判別がつくようになります。
さらに、クライアントさんが訴えるさまざまな心身の悩みの原因をまずFAPで探り出し、トラウマだけではなく他の心理的な原因で起こっている場合なら、多くの場合、治療をFAPでできるようになってきました。
また、うつ症状や精神的な不安定さなど、心理的な原因で生じていると思われるものの中に実は身体的な病気がもとで起きているケースもあるのですが、FAPを使った診断でそれもすぐにわかるようになり、適切な処置が取れるようになりました。
個人差がありますが、アルコールや薬物、飲食物、アレルギー物質、環境中の物質などが脳に影響を与えていて、それがクライアントさんの症状と関係している場合も、FAPでその影響物質を特定し対策を取ることができるようになりました。
こうして、FAPによる治療可能な範囲も広がり、また最初にFAPによる診断を行うことで、FAP療法以外にも受診や援助や服薬などが必要かどうかなど的確な対応方法が割り出せるようになったのです。
もちろん、FAPは万能のセラピーでも超能力でもありません。純粋に外科治療の領域のけがや内科で治す病気などはFAPでは基本的に治すことはできません。心理治療や精神科医療で扱う範囲の問題であっても、依存症の問題では自助グループの力がまず必要になりますし、薬を飲まないとよくならない精神疾患もあります。人間関係や環境の調整を行う必要のある場合もあります。
ただ、FAPを使えば、その問題の治療や解決にはどういう方法を取ればよいかはかなり正確に判断ができます。ドクターショッピングをするはめになったり、誤診などでかえって症状が悪化するということは、FAPで最初に診断をしてからならほぼ避けられるはずです。
大嶋先生をはじめとする治療者の方々がFAPによる治療経験を積み重ねていくうちに、トラウマの反応がないのに頭がぼんやりしていたり、精神疾患やこころの悩みが特にないのに精神状態が不安定だったりするクライアントさんたちがいることもわかってきました。
このような人の多くは、物質の影響が脳に及んでいることが明らかになってきました。お酒を飲んで酔っ払っている人を例にして考えればわかりやすいと思いますが、酔っ払っていれば脳はうまくはたらかなくなりますし、記憶をなくすようなことだってあります。脳が酔っ払ったような状態になってうまく機能しなくなるような物質の影響を脳があれば、解離と似たような頭がぼんやりした状態や精神的に不安定な状態になるのは当然です。こういった物質の脳への影響を取り除いてからではないと、本当に精神的な問題があるのかどうかさえわかりません。FAP治療を行う最初の段階で、脳が物質の影響を受けていないかどうか判断することが必要だとわかってきたのです。
影響物質の検出もFAPによってできます。
どういうものが影響物質になるかは個人差があります。アルコールやある種の薬物のような脳への影響が明らかな物質の場合もありますが、日常的に食べたり飲んだりしているようなものや、精神科の処方薬だけではなく身体治療の薬、また、衣服や住環境などからも、脳が影響を受ける場合があります。
FAP治療の効果は、すぐに表れる場合もありますが、多くは数日経ってから感じられます。これはFAP療法を通じて起こった脳内の反応が、睡眠中、特に夢を見ている間に脳の中で整理された後で効果として表れるのではないかと考えられています。
そういうわけで、FAP治療を受けた後の数日は、脳が睡眠を求めるために多少いつもより眠くなります。日中眠くなったりしないよう、また効果が早く出るにしたいのであれば、FAPを受けた後はしっかり睡眠を取るようにしてください。ただし眠気が出るとはいっても、いつもより1、2時間多めに夜の睡眠を取るようにすれば、一部の市販薬や処方薬の副作用のように運転中などにひどい眠気に襲われて危険な目に遭うということなどはありません。
なお、FAPの副作用はこの眠気以外にはほとんどありません。今までのトラウマ治療では、どうしても思い出したくないつらい出来事を思い出して誰かに語る必要がありました。その回想の作業自体にも苦痛を伴いますし、とても不快な出来事や感情をよみがえらせるわけですから、治療中や治療後にはかなり心身の状態が悪くなることも多くありました。FAPを使ったトラウマ治療はつらい出来事を思い出さずにできますから、副作用は従来の治療法に比べてはるかに小さくなるというわけです。
サウダージその他、FAP療法を使ったカウンセリングを行っている相談機関で、試しに受けてみてください。サウダージのカウンセリングは、初回はたいへん低料金で受けられますから、お試しだけでもぜひどうぞ。
また、ミラーニューロンのつながりは電話でも作れますから、FAP療法は電話カウンセリングでも十分効果が出てきます。お住まいの地域ではFAPを受けられないという場合は、電話カウンセリングをご利用ください。
FAP療法の開発者、大嶋信頼先生の最新著書、「支配されちゃう人たち」(発行:青山ライフ出版、発売:星雲社)をお読みいただくと、現在のFAPの基本になる考え方や基本テクニックを学ぶことができます。ぜひ、ご一読ください。